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2002.11.16 sat - 12.14 sat

木村秀樹 Hideki Kimura
Translucency 2nd
  • オープニング・パーティー 2002.11.16 sat sat 17:00 -



89年のノマルエディション設立時より制作をともにしてきた木村秀樹のノマル初個展。
1999年に京都市美術館で開催された木村秀樹展のタイトルである「Translucency (半透明)」の発展形として、自身これまでで最大サイズとなる3.6 x 13.75 mに及ぶ大作を、ノマルのレジデンススペースでの1ヶ月に及ぶ滞在制作を経て完成。LOFTの壁面を埋め尽くす迫力ある展示となりました。


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作家コメント

筆跡の映像化ー半透明ー皮膜のユニット

■ 3.6×13.75メートルというサイズは、これまで私が試みた大作の中でも、最大のフォーマットです。
ノマルエディションの「LOFT」というクセのある、巨大なスペースと対峙するには、コンセプトをできるだけシンプルに、且つストレートに示す必要があると感じ、実行に踏み切りました。今回の場合、大きさは強さ(説得力)に通じる、そのようなケースと判断しました。

■ 作品は、19枚のキャンバスパネルを組み合わせてできた1つの画面に、アクリル絵の具が何層も積層されて出来ています。ただ、通常のアクリル絵画と少し異なるのは、絵の具をスキージングという、シルクスクリーン版画の印刷の方法で定着している点です。一定の広さを持った面を覆う際に、行為(スキージング)の痕跡や、勢い、方向、を残しつつ、絵の具の層の厚みをコントロール出来るというところに、この技法の利点を見ています。描く事と刷る事、そのいずれでもなく、いずれでもあるような、中間的な技法と言えるかもしれません。

■ スキージングによって造り出された面、それは、絵の具という物質によってできた、字義通りの、皮膜(極薄の面ないしは層)ですが、その特徴の1つとして、透けているという点が、私を魅惑して止みません。
その皮膜を、喩えて言うならば、カラーセロファンやスリガラスとして制作する。そして、複数生産する事によって、タイルやガラスブロックのようなユニットとして看做す事もできるのではないか、、、。皮膜のユニットというアイデアの核心部分です。

■ 主題となるイメージは、一種の構築物です。あるパブリックアーティストの作品集から、大学のキャンパスに設置された多目的ステージ(舞台)を見つけ、そこに若干の変更を加えて造り出しました。
元のステージのサイズは、約45×400×300cm、何の変哲も無い直方体です。幾何学的で抽象的な形態は、映像化されると、スケール感が希薄となり、現実感、つまりそれが何の映像なのかが曖昧となり、逆に見る者の想像力にゆだねられるという事態が生じます。そこで、私は、そのステージを巨大なビルディングとして(意図的に)錯覚して、その上に、工場の屋根を思わせる形態をコラージュして、日常、あまり見かける事のない、しかし、あり得なくも無い形態をもった構築物を、コンピュータのモニター上に造りシミュレーションしました。そして、それを下絵として、キャンバス上に拡大しています。

■ 私がそのステージに引き付けられた理由の1つは、それがレンガで構築された建造物だからです。
レンガは建築用に考え出されたユニットですが、積み重ね方によって、自在に形を造り出す事ができます。レンガも皮膜も、共にユニットであるならば、両者は置換が可能だと言う事になります。スリガラスのみによって構築された、巨大な建造物。レンガの集積によって造り出される、チューリップの花、等々。

木村秀樹 Hideki Kimura