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2003.6.28 sat - 7.26 sat

名和晃平 Kohei Nawa
PixCell
  • オープニング・パーティー 2003.6.28 sat sat 17:00 -



2002年のノマルでの初個展で考案された「PixCell」という概念をさらに展開させ、新たなアウトプットによって挑んだ今展。
"光の方向を二つに分けるプリズムシートによって、異なった角度から見えるはずのイメージが現れ、箱の中に存在するはずのオブジェが虚像として漂う"「PixCell [...]」や、白く発光する水槽の水面を泡が生成し細胞のような有機的なイメージを生み出し続ける「PixCell - 」が発表されました。また、「PixCell - 」の水面をビデオカメラで撮影し、その映像をリアルタイムでLOFTの大壁面に投影するインスタレーションを行いました。


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作家コメント

PixCell について

 2002年春の個展「Cell」以来、「PixCell」という概念はいくつかの次元を構築してきた。それは「現実」に対する一種の介入、あるいは操作と言える。対象となる物体の表面を透明のガラスビーズで被覆することで、物体そのものの存在を「光の殻」で置き換える。物体のテクスチャーや色は、無数の小部屋(=Cell)の中に取り込まれて解体され、イメージの要素(=Element)の集まり、つまり「映像の細胞」(PixCell)という新たなビジョンにおいて提示される。
 ガラスビーズを使った「PixCell-...」(たとえばPixCell-Carp)に続き、泡が湧き出る装置「PixCell- 」(ブランク)と虚像の箱「PixCell [ ... ]」(たとえばPixCell [Zebra])は、このCellとElementの関係をさらに展開した作品である。
 水槽を使った作品、PixCell- のアイデアはボールペンによるドローイングから派生した。スクリーンのように白く発光する水面の泡はElementが入り込む前の純粋な状態のCellであり、とめどなく現れては消えて細胞のような有機的なイメージを生み出しつづける。それはイメージの生まれる母体そのものである。無数の小さな泡の刺激がある飽和点を超えると、見ている者に対し麻酔のように作用してくる。生成するCellは、リアルな「麻痺感」を伴うのだ。
 PixCell [...]はイメージの器であるCellの概念を展開し、箱状にしたものである。光の方向を二つに分けるプリズムシートによって、異なった角度(両眼の視差も含まれる)から見えるはずのイメージが現れ、箱の中に存在するはずのオブジェが虚像として漂う。像の色、形、テクスチャーなどの質感ははっきりと伝わってくるが、あくまでも幻に過ぎない。それならば、私たちが普段「見て」「触って」「感じて」いるもの、ひいては「もの」とはいったい何か。
 こうして視線は再び「表皮」へと向かう。焦点となるのはリアリティーを支えている視覚と触覚の関係である。
 視覚にとって世界は表面の連続であり、眼と手で触れるものは様々な「表皮」で覆われている。私たちは物を「表皮」において感知し認識する。だからあるものがリアルに感じるかどうか、決定的なのはその表皮の質なのである。「表皮」は感性と物質を繋ぐインターフェイスであり、感性と物質の交流のなかからイメージが生じてくる。

※ PixCell‥‥Pixel(画素)+Cell(細胞・器)。

2003年5月 名和晃平 Kohei Nawa