過去の展覧会

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2005.6.18 sat - 7.9 sat

Nomart Projects #03_01
大西伸明 Nobuaki Onishi
collection
  • ギャラリー・トーク:大西伸明 x 池上司 (西宮市大谷記念美術館) 2005.6.18 sat 18:30 -



ノマルエディションの若手作家の発掘・育成プログラムとして2001年にスタートした「Nomart Projects」。その第3弾となる今回は、池上司氏(西宮市大谷記念美術館学芸員)をキュレーターに迎え、大西伸明と木村真由美の個展をそれぞれ開催しました。

一回目となる大西伸明展では、デビュー当初より制作している、日常の身の回りにある物を型取り、樹脂で成形、緻密な着彩をすることで本物と見紛う立体作品を新旧織り交ぜて展示。また、ギャラリー空間の一部を型取った大型の作品も制作されました。

学生時代より多くの個展、グループ展を経験し、早くから注目されてきた大西伸明。今回のこれまでに無い規模での展示は大西にとって過去・現在を顧み、未来を見据えるための弾みとなりました。


[若手作家の発掘・育成プログラム「Nomart Projects」について]
第1回目の2001年は、キュレーターとして評論家の清水穣氏を迎え、4つのテーマによる4本のグループ展と4つの個展を開催しました。
第2回のプログラムでは、評論家の三脇康生氏選定による10人の作家による個展を開催。今回の第3回以降も2年毎の開催を予定しています。



キュレーター・コメント

仕事のなかの曖昧な不安

 大西伸明の作品の魅力は、率直にいって、何ものなのかよく分からない気持ち悪さにあると思う。そこにひとつの見方を提示するのが、今回の個展のコンセプトであると考えている。
 「infinity gray」というタイトルで制作され続けているシリーズは、身のまわりにある品々を、主にシリコンで型取りして樹脂成形したものである。さらに手作業で色や質感を再現しながら、一部が透明のまま残されている。これがイミテーションを目的としたものであるならば、そもそもこのような手間暇のかかる作り方はしないだろうし、世の中には格段に精巧なものがあふれている。これらの作品を見て感じるのは、そのかたちや大きさ、色や質感といった要素が、すべて表面的で視覚的な情報の集合として扱われているのではないかということだ。そのあり方は、昨今よく目にする3DCGにも通じるものがある。
 以前、広告や映画など一線で活躍するCGクリエイターの方の話を聞く機会があった。そのなかで最も印象に残っているのは、CGは一見きわめてリアルなようであるが、実写 (フィルム)に比べると、その情報量は圧倒的に少ない、ということばであった。それはセルや紙に描かれたものではなく、実写の映像とも異なる、また別の、新しいものとして認識しなければならないということを意味している。しかしそれをどのように受け入れたらいいのか、また制作する側も、その技術をどのように利用したらいいのか、そうした表現としての共通の約束事はいまだ確立されていない。大西伸明の作品を見たときに感じる不安と、3DCGのアニメーションを見たときに感じる何ともいえない違和感は、本質的に似通った部分があるのではないか。
 そこで今回の展示では、大西伸明が自らの手法に鑑みて集めてきた品々を、いわゆる博物館的な手法を用いて、ごく簡単なルールに基づいて、できるだけたくさん並べてみることにした。そこから何が見えてくるのか、私自身も楽しみにしている。

池上司 Tsukasa Ikegami (西宮市大谷記念美術館 学芸員)