Paintings and Prints

伊庭 靖子
Yasuko Iba

1999.12.17(fri) - 2000.1.20(thu)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday

オープニング : 1999.12.17 fri 17:00 - 無料
作家と語る : 200.1.8 fri 16:00 -




伊庭靖子は今夏、ダイムラー・クライスラーグループの文化支援活動「art scope '99」の招待アーティストに選定され、フランスのモンフランカンに於いて60日間の制作滞在の機会を得ました。同プログラムの巡回展として、フランスのAGEN美術館での個展に続き、11月15日〜21日まで東京「スパイラル」にて作品を展示。今回のノマルエディション・プロジェクト・スペースでの展示は、今年の1月より工房にて制作を始めた4点の版画と、フランス帰国後より制作を始めた新作ペインティング、また、フランスで得た新しいモチーフによる2点の版画を展示いたします。



作家コメント

写真を描くという方法で制作していますが、被写体自体が問題なのではありません。映っているイメージのみを純粋に描き出したいのです。それは、ぼけたり、ずれたりすることによって出てくる像(光の屈折や色彩の滲み、形の歪みなど)などです。そこには、写真本来の機能としての世界の忠実な再現や、写真家による物語的な連想とは関係のない、光と色彩に満ちた世界があります。抽象的で、なおかつ客観性を持つような、薄く切り取られた世界。そして、絵の具のみでもその世界を再現できると考えています。具体的な写真イメージに頼ることなく、絵の具の持つ色彩と物質による透明感のある映像的な世界の再現。映像をモチーフに制作するということは、絵画という、自らの手で描く方法で、映像の光、色彩、形などを解きほぐし、映像によって絵の具の考察を深めていくということなのです。
今回は、シルクスリーンによる制作も合わせて展示します。自らの手で描くのではなく、版という制限、そして刷り重ねられるインクにより、映像の光や色彩などを解きほぐしていきたいと思います。

伊庭靖子 Yasuko Iba