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稲垣 元則
Motonori Inagaki

2008.5.31(sat) - 2008.6.28(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday





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○ オープニング・パーティー : 2008.5.31 sat 17:00 -

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2005年開催の当画廊での展覧会では、キューブにおいて自然の風景・植物・身体をモチーフに、一見関連のない各シーンがゆるやかにつながり構成された抽象的な映像作品を発表。またロフトでは映像のモノクロプリント作品を展示。メディアの異なる各作品が相互にリンクしながら、一連のシーン(sequence)のように展開され、会場内を行きつ戻りつしながら稲垣の作品世界に入り込んでいく内容となりました。

稲垣の作品では特定の物語や感情といったものは排除され、主観の介在しないイメージ同士が影響し合い全体としてゆるやかな像を結びます。どこかで見たことのあるような風景、記憶と結びつくようでも言葉にするには難しいイメージを鋭い感覚と観察力で探り当て作品として私達に提示します。
時間をかけて深く作品と対峙することで、そのイメージは意識の中にゆっくりと浸透し、長く記憶に残るような深い印象を観る人に与えるでしょう。

今展では対象とのさまざまな距離感についてより深く考察を重ね制作した、ラージスケールの写真作品をはじめ、ロフトの大空間を最大限活用した新作映像作品、新たな試みのドローイング作品等を出品予定。また今展にあわせて稲垣が日々の思索を綴った言葉と今展のイメージ、新作映像作品を1冊に収めたDVD付アーティストブックも出版予定です。今回はこれまでにないスケールでの制作、展示方法を積極的に取り入れ、自分自身の殻も破ろうとする挑戦的な展示となります。



作家コメント

目に見えないもの。言葉にできないもの。
そういった何かわからないものの形を捉えたいとおもっている。それは心の凸凹であるとか、人の持っている記憶の感触や、それらの背後にあるなにか異様なもの、多分知っているけれどもわからない何かである。そこには自分や日常生活とは何らかの距離があると思う。そしてそれぞれの関係性とそれらの距離を測りながら言葉にできないものの輪郭を地図のようにゆっくり描く事が出来るだろうと考えている。
映像や写真に写っている現実的な被写体(風景や人物など)を抽象的に再構築する事で、物のなかに何か別の側面を浮かび上がらす事ができるのではないだろうか。
目にみえないものや言葉にできないものが、それが遥か遠いものなのか意外と近いところにあるのかが解ってくるはずである。

稲垣元則 Motonori Inagaki