phase

稲垣 元則
Motonori Inagaki

2010.2.13(sat) - 2010.3.13(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday





--

○オープニング・パーティー : 2010.2.13 sat 17:00 -

--

稲垣元則はこれまで、写真、映像、ドローイング等のメディアを用い、自然物や身体をモティーフに独特な構成の作品を展開してきました。
何度も同じ場所へ赴きカメラのシャッターをきる、季節や時間によって表情を変える風景や、一定の動作を繰り返す身体の一部に向けてビデオカメラをまわす、あるいは日々同じサイズの紙に向かってドローイングを描く……といったように、稲垣にとって表現することは、同じ反復のようでありながら毎日違う一日を生きるような、常に進行形の作業なのかも知れません。
2008年の当画廊での個展では、対象との距離感をより映像的なスケールで表現するため、映像、写真ともにラージサイズの作品を制作、とくに写真においては初めてデジタルプリントの手法を取り入れました。また映像作品のDVDとそのイメージに日々の思索を綴った言葉を合わせたアーティストブックを制作、出版しました。
今展ではふたたび手焼きのモノクロプリントによる表現に立ち返り、作家ー対象との関係に潜む視覚性、時間性などの変化・ズレ(位相ーphase)に焦点をあてた写真作品を発表します。個々の作品として成立していながら、全体としてひとつのインスタレーションとして構成された展示となる予定です。



作家コメント

撮影する目の前の風景は、大きなものでもなく小さなものでもない。
私と被写体のバランスは常に同等でなければならない。そこに自分を投影している訳ではないが、自分の身丈や状態は被写体と密接な関係を持っている。
繰り返し撮影するとそれぞれの間に時間が生まれ、その時間の上にある前後関係がイメージに制限を与えたり、不自由にしたりする。 しかし、その時間の流れとは全く別の変化を捉える事もできる。その変化は内面からくる視線であったり、物事の抽象性であったりする。そこをうまく抽出する事ができれば、時間的な制限や不自由さは裏返り、解放される。
瞬間を捉えて作品が生まれるのはシャッターを押した瞬間ではなく、暗室作業の中にある。シャッターを押した時は自分が何をしているのかはっきりとは理解していないが、そのネガをプリントしているときは自分の行為が理解できる。その中にある時間と身体の機能によって理解できることはまさにドローイングと同じ感じがする。

稲垣元則 Motonori Inagaki