Yasuko Iba: grain - A way of Seeing

伊庭 靖子
Yasuko Iba

2019.6.1(sat) - 2019.6.29(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday





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○ 初日ギャラリートーク : 2019.6.1 sat 18:00 - 無料
  * 終了後、オープニング・パーティーを開催

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grain―粒子で描き出す光の景色
伊庭靖子、ギャラリーノマル15年振りの個展開催

大学で版画を専攻したのち、さらなる表現の展開として90年代半ばより独学で油絵での創作をスタートした伊庭靖子。リネンや器といった日常にある何気ない素材をモチーフに対象物の質感やそれらを包む光の表情を柔らかに描く作風は、観る者の記憶に結びつき視覚を通して不思議な触覚性を感じさせます。

今回ギャラリーノマルで開催する個展「grain - A Way of Seeing」では、伊庭の原点と言える版表現での新作を発表。版画工房ノマルエディションとの実に14年振りのコラボレーションによって生まれたシルクスクリーン版画“grain”シリーズ計10点を一堂に展示いたします。

色粒の集積で像を結ぶ―新たな版表現に挑んだ意欲作

今シリーズは絵画作品同様に伊庭が撮影した写真をもとに制作。写真に描画を加えたのちデジタル上で粒状のイメージのレイヤーに分解し、シルクスクリーンで刷り重ねることで像を描き出します。grain(グレイン/粒)の名の通り様々な色彩の“インクの粒”が折り重なることでイメージが立ち現れ、風景に漂う空気感や光の気配を触覚的に呼び起こしながら平面の中に独特の奥行きを創出。より視覚的な効果を得るため部分的に発泡インクを使用するなど、工房の技術とアイデアを注力し創り上げました。映像を光の粒子に還元し、版画を介して現象を再構築する意欲的な試みとなります。

7月には東京都美術館での大規模個展も開催決定
“grain”シリーズは東京都美術館で今夏開催される「伊庭靖子展 まなざしのあわい」でも展示が決定しています。美術館では10年振りの大規模な展覧会となる同展では、絵画・版画に合わせて作家初の映像作品も発表。伊庭の新たなる挑戦は既に多くの注目を集めております。

個展初日の6月1日(土)の18時からは作家によるギャラリートークも開催。ひとつの場所に留まることなく自らの表現を拡張し続ける伊庭靖子の関西では貴重な個展となります。


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作家コメント

10年以上前から風景をモチーフに作品を作りたいと考えていました。風景と言っても油彩の作品と同じように、そのモチーフには何か惹きつけられる質があり五感に訴えるものであることが必要でしたので、そういったモチーフを風景の中に見つけることは難しくなかなか筆が進まない状況でしたが、今回、ようやく版画によって風景の作品に取り組むことができました。

今回の版画では、目の前のイメージを粒子に置き換えることを試みています。イメージに頼るのではなく置き換えられた粒子が密度を増していくことで、見えているイメージを超えて質感が強く感じられた瞬間に、その風景を手に入れることができるのです。そして、切り取られた風景を密度のある粒子で満たすことにより、ある質感をもった固まりとなり、果てしなく広がる風景ではなく、目の前のものを見つめる静物画のように捉えたいという思いで制作しています。

伊庭靖子 Yasuko Iba