30th - Miracle vol.4 田中朝子:blanc
30th - Miracle vol.4 Asako Tanaka:blanc

田中 朝子
Asako Tanaka

2019.11.2(sat) - 2019.11.30(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday





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○ 初日トーク・イベント 2019.11.2 sat 18:30 - 無料
 トーク:田中朝子 x 大槻晃実(芦屋市立美術博物館学芸員)
 ※ 終了後、オープニング・パーティーを開催

>> 30th-Miracle 特設サイト

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“白”から拡がる作品世界
田中朝子、3年振りとなるギャラリーノマルでの個展開催

ズレや錯覚などごく些細な視点を、写真・版画・映像と多様なメディアを介して作品へと昇華する田中朝子。ギャラリーノマルでの3年振りの個展となる今展では、田中が以前より関心を寄せる“blanc”をテーマにした新作と2003年のリメイク作品を発表いたします。
“blanc”とはフランス語で「白」を意味しますが、色としての定義のみならず、「透明な」「空白の」など多様なニュアンスを含む単語です。様々な可能性を内包する言葉のイメージからインスピレーションを拡げ、田中ならではの繊細な視線と表現で作品へと展開します。

ー 没入型の大型インスタレーションを始めとした新作を発表
今展でメインとなるのは田中の作家活動開始当初の記念碑的な作品のリメイクで、四方形の小部屋のコーナー全てにカーブをつけたインスタレーションです。
3.6mx3.6mの室内には何もなく、照明によって光が拡散された真っ白な空間があるのみです。角という角が排除され四隅と全ての線が消滅した世界の中で、鑑賞者は平衡感覚と遠近感を失い浮遊感に似た不思議な身体感覚を得ることになります。

その他、ミルククラウンとウォータークラウンを捉えた写真や、白から透明へグラデーション状に移り変わる色水を並列するオブジェ、グラニュー糖を素材とした立体作品などを発表。田中が愛着を持ってこれまでに繰り返し用いてきた素材や対象を今展のために再編集、“blanc”というテーマのもとに新たな形で提示する意欲的な新作展となります。

初日11/2(土)の18時半からは、芦屋市立美術博物館学芸員の大槻晃実氏を招いてのトークイベントを開催。作家の思考や作品へのこだわりを紐解く貴重な機会になりました。


[ Talk Guest ]
大槻晃実 Akimi Otsuki
芦屋市立美術博物館学芸員。2011年より現職。これまでに企画・担当した展覧会は「コレクション展 菅井汲/松谷武判-print works」(2013)、「art trip vol.01 窓の外、恋の旅。/風景と表現」(2014)、「阪神沿線の文化110年 モダン芦屋 クロニクル アート、ファッション、建築からたどる芦屋の芸術」(2015)、「art trip vol.02 この世界の在り方-思考/芸術」(2016)、「小杉武久 音楽のピクニック」(2017)、「コレクション展 星のような-のこすこと/のこされるもの」(2019)など。今年度は「小企画 菅井汲」、art tripシリーズの最終章「in number, new world / 四海の数」と音楽と美術の8日間「rooms」を予定。教育普及プログラム「びはくルーム」「まなびはく」なども担当。館外の活動では2019年5月からスタートした「藤本由紀夫 星の読書」に参加している。


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作家コメント

「blanc」はフランス語で「白」という単なる色名だと思っていましたが、実はふくらみのある言葉です。
改めて辞書を開くとblancには白に続いて「透明」「無地」、先には「余白」「行間」と、心くすぐられる言葉が連なっているのです。

例えば「余白」は、余っている、つまり埋められていないから白なのであって、時に白でなくて何かかも知れず、それを「空(から)の額」と形容するとします。するとふわっと無限の可能性が漂ってきます。
「行間」も、意味と意味の間にある非公開の、存在の有無すらも定かでない、控えめに破線で描かれた括弧のようなものです。
「空の額」「破線の括弧」、これら内外共に限定されることなく変容する柔らかな枠は、いつからか抱きだした作品の理想の姿のひとつで、blancは、白、透明という色も併せて私の好きな要素が凝縮された言葉でした。
そして、文脈などの環境で面持ちを変える言葉の在り方自体も私の理想像でした。

今回はそんなblancをタイトルに掲げ、好きなモノづくし+χ、裏腹な玉手箱の様な空間をお披露目したいと考えています。

田中朝子 Asako Tanaka