U30 - Whom do you suspect?

上田 佳奈, 小谷 くるみ, 長沢 優希, 山田 千尋
Kana Ueda, Kurumi Kotani, Yuki Nagasawa, Chihiro Yamada

2020.3.28(sat) - 2020.5.2(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday





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[各作家インタビュー動画、公開中]
ディレクター・林聡が会場で各作家にインタビューした模様を現在youtubeで公開中です(トータル約24分)。ぜひ、ご覧ください!
>> こちらから(youtube)

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[オンライン・ヴューイング、公開中]
展示会場風景と各作品イメージを編集した動画(トータル4分)を現在youtubeで公開中です。
>> こちらから(youtube)

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ノマル31年目にして初の試みー
30才以下の若手美術家による公募展
昨年創業30周年を迎えたノマル。ギャラリーオープン(1999年)の初期、複数回に渡って開催した若手発掘プロジェクト「Nomart Projects」(*)に参加し、のちにレギュラーメンバーとして制作や展覧会を共にすることになった作家たち(名和晃平, 稲垣元則, 田中朝子, 豊富春菜, 大西伸明)も今や中堅として国内外で活躍、次の世代を牽引する立場となりました。ノマルでは同プロジェクト以降、作家をある程度固定し、アイデアやチャレンジを共有しながら毎回新しい驚きと発見のある作品作りや展覧会を追求してきましたが、31年目に突入した今年、気持ちも新たに、これまで長年に渡り積み重ねてきたものごとを改めて見つめ直すとともに、まったく未知の中からまだ見ぬ表現の可能性を探り当てるべく、若手作家に限定した初の公募展を行うことにいたしました。

昨年秋の募集締め切り時点で30才以下のアーティストを対象とした今回の公募では、沢山のご応募の中から書類選考、面談を重ねた結果、いずれも関西在住の4名の作家によるグループ展に決定。版画、ペインティング、立体造形と扱うメディアやスタイルの異なる4作家が、今展でのテーマ「Whom do you suspect ?」をそれぞれの解釈で展開させ、各人の特徴を生かした新たな作品制作にチャレンジします。

展覧会初日にはささやかながらオープニング・パーティーを開催いたします。会場にはアルコール消毒スプレーを常備していますが、ひとりひとりが健康維持とマスクの着用等感染予防を心がけ、体調のすぐれない方や来場に不安を覚えられる方はご来場をお控えください。どうぞよろしくお願いいたします。


*Nomart Projects (ノマル・プロジェクト):
外部より共同企画者を招き複数名の新人作家を選出、会期を分けて展覧会を開催した企画の総称。新人発掘の意味合いだけでなく、自分の作品を人に見てもらい、評価をもらい、さらに購入してもらう…という美術家のプロセスを、若い作家とノマルが共同で実践していく試みとなった。
共同企画者は、第一回(2001年):清水穣氏(美術評論家)、第二回(2003年):三脇康生氏(美術批評 / 精神科医)、第三回(2005年):池上司氏(西宮市大谷記念美術館 学芸員)、第四回:木ノ下智恵子氏(美術プロデューサー) 。





疑うことから始めてみる。全ての正しいと思う物がそうではなく、美しいと思っていたものが違うと感じたら。そのまま考えることができないのでもう少し違う目で見てみる。色が怪しいか。絵の具が、絵筆が怪しいか。それとも造り出そうとしている自分自身が怪しいか。Whom do you suspect? これがタイトルだ。アーティストの多くが40歳を超えてしまったノマルに30歳以下という制約を設けて展覧会を企画した。表現がまだ不確かで可能性に満ちているのではないかという肯定的疑いだ。

林聡 Satoshi Hayashi (ギャラリーノマル・ディレクター)



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上田佳奈 Kana Ueda

私はこの世界のあり方を版を用いて考察することを試みている。
同じレシピでも作り手によって味が変わったり、同じ言葉を聞いてもそれぞれ受け止め方が違ったりする。
ふと気づけば、版とその写しの関係性は日常の中の様々な事象に潜んでいる。
発信側と受信側の特質や傾向、また偶然の作用によってもたらされるズレを抽出することで、この世界の不確かさを検証したいと考えている。
版画を中心に、写真や映像作品などを制作している。

「Whom do you suspect?」
誰もが共犯者である。
基準や構造は常にぐらぐらと揺れ動いている。
確かなことは全てが不確かであるということだけである。
こんな曖昧な世界が平然と成り立っていることの不可思議さに今日も驚く。

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小谷くるみ Kurumi Kotani

存在の痕跡と気配をテーマに主に絵画作品を発表。2018年から取り組んでいる「時間・痕跡〈錆〉」シリーズでは、支持体に染み付いた錆というマテリアルを時間や変容、事物の痕跡の象徴として使用している。本作では新たな手法として黒錆への転換を用いることで、自然と人工を対比させ、それらのせめぎ合いをあぶり出すことを試みる。

「Whom do you suspect?」
人類が地球という共同体に与えてきた影響について、社会的な存在としての"私"ではなく、地球的あるいは宇宙的な存在としての"私"の視点で思考する。
過去を見つめることで見えてくる"今"と現実に出会う"今"との間に生じるズレをキャンバスに写しとる。

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長沢優希 Yuki Nagasawa

言いようのない寂しさや生き辛さを感じていた幼少期に、家にあった新聞紙を丸めて遊んだり日常の中でおもしろいものや美しいものを見つけたりすることが自身にとって救いでした。
今もそのような発見をした時にはそれを誰かと共有したいと思うし、心を痛めることも多い日々の中で作品を見た人が世界はこんな見え方もするのだと笑って貰えると嬉しいです。

「Whom do you suspect?」
素材となる物に対し自身が持っている知識や価値観・感覚と言ったものを一旦手放し、初めて出会ったような態度で向き合っています。
自分が見ているものは人には違って見えているかもしれないし、少し視点を変えてみることでそれまで想像もしなかった景色を見ることができるかもしれないと思うのです。

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山田千尋 Chihiro Yamada

最近は、排泄物やケガなどの写真をモチーフに選ぶことが多いです。
痛さや、重さ、かゆさなどの感覚が伝わってくるような、体のいびつな部分に焦点を当てています。

「Whom do you suspect?」
見れば見る程、描けば描く程、モチーフを見たときに受けた感情はばらばらになっていくし、快・不快などの感情の差があいまいなことに気づくことがあります。
色に置き換えたり、線に置き換えたりすることを通して、自分の抱いている感情の正体に気づきたいなと思っています。

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