「外」の場所
Locality of Outside

今村 源
Hajime Imamura

2003.12.20(sat) - 2004.1.31(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday






今村源の、ノマルエディションにおける初の個展が開催いたします。
ホワイトキューブの「CUBE」+全長約15mの「LOFT」、というまったく性質の異なる2つのスペースを引き受けて、どんな今村ワールドを展開するのかどうぞご期待下さい。


<作家コメント>

「外」の場所

 植物は動物の裏返し、三木成夫の著作にこのような表現があった。“腸管をずるずるひっぱり出し、片っ端から袖まくりするように表返しにひっくり返すとそこには一面の絨毛の生い茂った、中空の肉柱が姿を現わす。”これが植物というわけだ。このシュールなイメージは、進化論的に物事を考える癖のある私にとって、まことに鮮烈なイメージであった。動物と植物といった分類的に分かれていたものが一挙に連続性を持ち、動植物の相同性がはっきり見えてくる。ここで同時に思い出すのが、中学か高校の生物で習ったカエルの発生図だ。一つの細胞が、やがて二つ四つ八つと三次元的に増殖し風船のような「胞胚」が形成されてから、急に「原口」と呼ばれる穴から周囲の細胞が内部に流入して行く。やがてそのへこみが「原腸腔」とよばれ、臓器形成の原形となっていく。裏返しのイメージはこの内部に植物的器官を形成して行く事に繋がって行く。我々身体の内側にはこの植物的なものが内包されていると。
 私は、かつて「睡眠と覚醒」というタイトルの展覧会のとき、通常の、寝る・植物人間(閉ざされる)、起きる・活動する(開かれる)、といったイメージは実は反対だなといった事を考えていた。起きるとは、植物的感覚のある部分を閉ざして行く事によって始めて起こり得た出来事だと。植物は熟眠状態にあるようにみえて、実は、全方向に開かれており、世界の振動を感受している。
 「外」、我々の意識に捕らえ得ない事をこうよんでみた。「胞胚」が突然内部に向かって窪み始める時、あたかも、その「外」を内部に取り込むようにして沈み込んで行くように見えてくる。今も我々の内側にはその「外」が包み隠れているはずだ。

今村 源 Hajime Imamura