刻 21106
Koku 21106

永井 英男
Hideo Nagai

2020.2.15(sat) - 2020.3.14(sat)
13:00 - 19:00 日曜・祝日休廊
Closed on Sunday and National Holiday





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○ オープニング・トーク : 2020.2.15 sat 18:00 - 無料
トーク:永井英男 x 榎忠(現代美術家)
* 終了後、オープニング・パーティーを開催

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喪失した時間/記憶を探り、キャンバスへと刻み込む

3年半振りとなる今回の個展では14年の時を経て新たに描き上げたペインティング、ドローイング作品の数々を発表いたします。
前回個展("ENDORPHIN" 2016.10.29 - 11.26 at ギャラリーノマル)が終了して間も無く、永井はふとしたきっかけから、自身が交通事故にあった同じ日付をインターネットで検索したところ、記憶にない国内外の様々な出来事があり、まさに同日、同時間帯にトリノオリンピックの開会式が行われていたことに驚きと何かの巡り合わせを感じたと言います。
そして動画サイトに記録されていた様々な出来事を作品にしたいと考え、事故により喪失した時間と記憶、同じ日に世界で何が起きていたのか新たに記憶するため、事故以来、後遺症のため距離を取っていた絵筆を手に再びキャンバスに向かい始めました。

"刻 21106"では日本時間との時差を計算した日付の動画を見つけ出し、永井が求める瞬間を何度も再生を繰り返してトリミングしたものをキャンバスに描きます。

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永井はこれまで見えない力への抵抗、自身のアイデンティティから対象の存在をデフォルメし視覚的ユーモアを表現した彫刻作品「BABA PROJECT」(2001年)や「B-PROJECT へそで投げろ」(2011年)など、その圧倒的な存在感と見る人の心を開くユーモアのセンスで、現代美術の世界に強烈なインパクトを与えてきました。以降も彫刻、ドローイングや映像作品を発表。その独創的な表現で幅広い支持を獲得しています。

2012年、ギャラリーノマルでの個展「painkiller…」では、多様な痛みの感覚を100x12x12cmの角材を切断、組み替えを施した立体、ドローイング、写真と一体化したインスタレーションを発表、2016年、個展「ENDORPHIN」では、人間の体内で分泌される神経伝達物質で鎮痛、脳の活性や精神的ストレスの解消に効果があると言われる「エンドルフィン」をテーマに、2006年の不慮の交通事故以降、永井にとって身近な素材である松葉杖を制作し、その彫刻群が空間を埋め尽くす壮大なインスタレーションを展開。視覚と嗅覚に訴えかける作品はさらなる次元へと達した展覧会となりました。

体調により制作できない期間がある中、後遺症と向き合いながらも制作を続け、つねに新たな表現を追求し続ける永井英男の新作展。ぜひともご高覧くださいますよう、よろしくお願い致します。

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刻 Koku 21106

日々、地球上で同時に当たり前のように何かが起きている。
そして、それは特定の人間にとっては特別な意味を持つ。
時間と同時性。
メディアに残された出来事を絵画として描くことは世界の持つ未知の記憶を刻む行為である。

Day after day things are simultaneously happening on the earth in a seemingly ordinary way.
These things have special meanings for each individual person.

Time and simultaneity.
The act of depicting events from the media in paintings is an act of inscribing the world’s unknown memories.

永井英男 Hideo Nagai