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思いつくまま、できたこと、できなかったこと、感じたこと、を(不定期に)記録してみる。
たぶん行ったり来たりするであろう、工程は、
作品の勘所を探りながらつくっている、
いつもの工房風景のログになると思う。
校正刷り。
pencilから。
方眼のコンディションに注意。手のクリアベタのボケ足、再度調整?
細い線の向きとスクリーンの糸の向きがそろうと出ないことになるので、今回は特別に45°に振って紗張りした。
方眼:300/45°/8コート/80c
手アミ:300/5°(15°振り)/8コート/60c
手ベタ:150N/10コート/60c
濃度:PRO45610%→JRP800、80g+30g→50%に薄める+T910、35%でゆるめる
セット:印圧3.5/2回下げ/クリアランス6mm/コート6、プリント8
手アミ モアレ出る。角度混乱→20°振りで再製版
木村さんの意見
手アミの濃度もっと上げ。製版をクリアに。かつては3コートで焼いていた。らしい。
手刷りでPRO765薄めずそのまま、で返し有りがよさそう。
3コートカウント10で再製版。
チューリップのポジ預かる。色出しとグラデーション有り。方眼は一段濃くすること。
pencil
刷り色は結局PRO765の50%に。
アミの上にメディウムを刷ると濡れ色になり濃度が一段と上がるので、濃い中でなるべく薄くしてみる。
スクリーンの角度上、正位置に製版できず、機械で通すことができない。。。
当時と同じく手刷りになってしまった。
しかし、他に要素がないのでアソビが無い。とんがった鉛筆のよう。
ポジBが濃い。ポジの見た目以上に差が出ている。
ポジAの濃度に合うように、刷版から変えてみたらどうか。
刷り位置変更。→ポジA先端35mm下げ。
ブラインド
ブラインドは、ひととおり色出しして色の組み立てを見てもらう。
ボケたブラインドとピントのブラインドの濃度のギャップが大きすぎた。
再度色指示もらい、調色を。
ピントの下にあるベタの色をキモチ赤みを入れる。ほとんど見えない部分だが大きく変化する部分。
刷り位置変更。→左に10mm。
ブラインドの写真は当時の嵯峨美の研究室の風景とのこと。
モチーフも刷りもおなじところ。
京都市美の中谷さんにも見てもらう。
ようやく再開。
pencilのポジBがどうにかならないか。
刷版そのままで濃度おとせば近づきそうだが、シャドウ部の濃度は足りなくなる、だろうというのと、
構成上、色を変えるのはどうか。キモチワルイ。
ちょっとキツメにカウント上げてそっと抜いてみる。
3コートカウント30。同色で試してみると、よさそう。に見える。
ブラインドの色出し。
なかなか読みづらいが、たぶんもっとグレイッシュでギャップを寄せる感じか。
原液JRP710+440+320/2:1:1
原+120+800K/5:60:60
キモチ色味が出過ぎかも?
ということで、
原液JRP710+440+320/4:1:1
原+120+800K/5:40:40
に調整してベースボケアミ2種で上にのせてみようと思う。
前回の校正刷りを見た時にあえて話は無かったが、ベースの方眼がブラインドのボケアミから微妙に透けて出てくると、より前後感が撹乱されるんじゃないか?
と思うが、意図的かどうか。。
いままでのセットだとキツそう。音が違う。
その場の勘でステージ0.5下げ、印圧0.5下げ、プリントスピード8→6に。方眼10枚通しても変化なし。もっと通せそう。コンディションよさそう。
ベタ版のコンディション要調整。
方眼サイズベタがすこし大きい。。原稿調整で再製版。
思ったよりアミの濃度が上がらない。2層インクがあるからか。ちょっと弱いかもしれない。
PROプロセスブラック100%に変更?
エンジオペーク版の線の部分、途切れがち。
ブラインドの色調整
指示に近いかな、とは思うが、各色どうしのバランスはどんなものか。
最後のクリアはベタ版は効いているが、アミのままだと300メッシュなりのインク量。
アミの色はかなり白で明るくしてみたが、これもどうか。
pencil
Bポジの濃度は刷版やり直してだいぶ良くなったが、濃度の差がもう一息。
すこし透明にして合わせていく方向で、ほぼ校了できそう。
ブラインド
調色したものはOK。
ただ、ピントのアミの下地のベタの色味が突出していてバランス悪い。
木村さん自ら調色してくださる。命のインク誕生。
また、ピント部のグロス感を出したいとのことだが、300メッシュではとても無理そうなので、150メッシュくらいでグロス用の刷版を試してみる。
この点以外は校了に近い。
水鳥
色のニュアンスの方向変更とともに、全面のアミの出方がどうも硬質すぎると。。
もっとのっぺりしているようにできないか?
→カウントを下げて出し気味にするか、やりかた一考。調色しなおし。
チューリップ
ストローク版を何回かやりなおしてこれまでの雰囲気で刷ってみたが、いちばんガサッとした調子のものが面白いとのこと。意外。
せっかく新しくつくるのだから、まったく違うことやったらいい、とのこと。さすが。
この版の色味も調整してもらう。
木村さんはバチベラでインクを練る。何段階かに分けて調整していってすごく少量だった試しインクを最後にはまとまった量に調色してくれた。さすが。
pencil
ディレクターの意見もあり、大規模変更。
紙を横に。Aポジの反転を追加。Aポジ裏焼き、Aポジベタの裏焼き。
刷り位置はデータのシミュレーションをメールで送ってチェック。
変更の元になったのは、約40年前の仕事を現在に再現するだけではもったいない、という考えだったが、よくよく考えてみると面白い。
まずこれまでの鉛筆の仕事をレゾネで見ると、縦位置のpencilは無い。そして今回使ったポジはpencilシリーズには使われていない。
それと、レゾネには進めてきた校正刷りによく似たものがある。しかしこれはpencilではなくただwork-8-2-2というぶっきらぼうなタイトルで、pencilより後につくられている。この作品には、同じポジが含まれているように見える。
ここで思うのは、なぜpencilは横の作品だけだったのか。そして、今回なぜwork-8-2-2ととても良くにているレイアウトをもってきたのか。
発表された作品以外にもつくったものはあったのか?横位置だけというのは理由があるんじゃないか?過去につくったものが、ポジを構成するときに偶然蘇ったとしたら?
そしてなぜ出来上がり直前の状態から大変更したのか。
シミュレーションのため、ポジをスキャンして方眼のデータ上でレイアウトを複数つくってチェックしたが、これは当時は方眼紙の上でポジを動かしながら決めたに違いない。しかし、違う場所で他人が操作することはできない。広げて考えると、木村さんの手の映像を木村さん自ら動かしていたものが、木村さんの手を離れて、手の映像がコピーされペーストされ、リフレクトされ、レイアウトされているということになる。
無限に増殖する手。
ブラインド
ベースのボケアミの色がデータどおりでない。
再度調色。
最後のクリアを150メッシュで刷る。多少粒だった感じになる。グロス感が出たか。
水鳥
ベースアミ版をカウント下げ、インクの粘度下げで刷る。
中間調の濃度が結構でるようにはなったが、なんかもっさりした感じにも見える。
色味のせいなのか、、、?
ベースアミ版300メッシュ3コートカウント6、しっかり抜く。
方眼サイズベタ版を角版にしているが、これを画用紙をビリビリやぶいてエッジをびびらす。
額のマット、紙の仕上げエッジ、方眼サイズベタと直線ばかりになるところをすこしぼかすため。
チューリップ
ストローク版の色を増やしてグラデーション用に枚数増やす。
命のインクの組成はJRP120:710:400:PRO850=95:1:2:85というものだった。
pencil
大幅変更でok。刷り位置微妙に修正する。タイトルBOX右下ちょうどに。
ブラインド
クリアのせてOK。なんだけど、全体のアミ版明度落とそうか、とOKではない様子。。。比べて決めるかんじか。
水鳥
ベタ版は画用紙やぶった方。全体の色調、明度の調整。インクを調色。
量を増やして刷ってみる。
チューリップ
結果、グラデーションが3つも入ることに。。1ポジ、下G上B
2ポジPRO710の50%/2ポジ目止め版JRP120+PRO850
3ポジ上G下B/4ポジ花をエンジ。
2ポジはそのままとその上から、一部目止めした版を重ねる。
ほとんどどこにも逃げ場がないので、版のセット方向、紙の留め角、正しく。基準に忠実に。
同じインクの種類で、刷る面積が少ないので、その点は助かっている。これが長いベタだったらと思うと、、、。
pencil
方眼の目盛りと鉛筆のトップ、ボトム厳密に。1mm以内を正確にする。タイトルBOX方眼インクより濃度下げ。
過去のpencilの仕事の話を聞いた。
キモは、既製品の方眼紙というサイズの規定、2つのポジの表または裏を使う、方眼の交点に鉛筆の先端または下端をあわせるというレイアウトの法則、という3つのルールだけでできているということ。
今回は、既製品とイメージの距離感をシルクで刷ることでイメージと同列にもってきて、表か裏のどちらかだけ使われていたところを両方を同居させ、同等のレイアウトの法則でつくられた、ということか。
いわく、pencilシリーズのエッセンスをすべて入れ込んだハイライト、集合体というところ。
ブラインド
全体ボケアミ色、JRP440:320=1:1→5+JRP710;10→9+JRP120;60+JRP800K;60にてOK。タイトルBOX右下、pencilと同色に。
この作品についておもしろかったのは、「穴をつくっている」という話。
スリガラスの向こう側をのぞき見る穴ということだが、プリントの構造からみて上に上に刷り重ねられたところがある意味穴になっているのは興味深い。
あと、「この穴のようなものは、画面のどこに刷られてもいい状態にある」というのも、この作品にある、距離感の不確かさや浮遊感みたいなものに通じるのかと想像できるかもしれない。
これはシルクの版のもつ、平らな場所ならどこにでも刷れるというような自由さがあるからだと思う。
水鳥
木村さんのつくった色修正インクに、アミPRO765:JRP350=3:1を3°でOK。タイトルBOX、ベタを下に入れる。他はかなり控えめにできるだけ目立たなくしているが、これは逆に画面に突然現れたよう。
小さなところにも、なじませるものと際立たせるものの扱いのテクニックを感じる。
緑色系にふったりいろいろ調整をしてきたが、結局当時のプリントの色調にとても近い結果になった。
当時は手刷りのせいかもっと濃厚な感じがする。この作品は当時の工程をたどったリメイクになった。
チューリップ
刷り位置左に30、上に20で最終版の色決め。水鳥のエンジでやってみたものを見て一言「強いな」。
濃度調整して刷るが、おさまる位置がなかなか決まらない。他がほとんど決まっているからか?
だけどもう一手入れたい。グロスを2回刷ることで、すこし墨色のなかに変化をつけたものが最終になった。
タイトルBOX、右下うすいピンク。
チューリップを写真なのか手描きなのか分からない状態にする。どのチューリップも等価に組み合わせる。
ポジ上に縦横斜めにあるスリットは、位置を合わせる役割もあるとこことだが、そのスリットのおかげでチューリップは方眼に組み込まれ、画面上の関係というものが曖昧になる。モノクロームの花、緑色のチューリップ。
細かく分け入ると、ここはこうして、、というのがよく分かる。代わりに体験しているみたいで面白い。
今回の4点を通じて感じる点のひとつに、コラージュ、モンタージュの要素がある。
それぞれの本当の意味どおりか分からないが、現実から引きはがされてきたイメージが離合集散して画面が構築される。既製のものを切り貼りしたり、暗室内でポジを合成したり。
そのイメージの扱い方と原稿一枚ずつから刷版ができあがって刷り重ねられるという版画の工程に親和性を感じる。しかも版画のなかで唯一シルクだけは転写(図像が反転される)ではなく直接正像が扱える。だからシルクで仕事をしたんじゃないかと思う。
すべて校了。
ずいぶんほっとしたが、まだ本刷が残っている。
しかし、大方終わったようなもので、あとは正確に根気よくしていけばなんとかなる。
<今回の仕事のインクレシピ>
pencil→「Pencil 3-1」
・方眼/PRO456:JRP800=3:157+T-910 35%・ポジA/PRO765:50%
・ポジB/PRO765:40%
・ポジA裏/PRO765:50%
・ポジAベタ、ポジBベタ/MSG800/2回を2°
・タイトルBOX/方眼用:JRP800=15:10
ブラインド→「Blinder 2015」
・方眼/PRO456:JRP800=3:157+T-910 35%・ブラインドボケアミ/JRP440:320=1:1→1:JRP710/2→
9:JRP120/60:JRP800K/60
・ピント下地/調色インク
・ピントアミ小/JRP710:440:320=2:1:1→1:JRP120/1
・ピントアミ大/JRP710:440:320=2:1:1→1:JRP120/1
・ピント下地クリア/MSG800/1°
・ピントアミ大クリア/MSG800/1°
・タイトルBOX/方眼3%:JRP320=25:1以下
水鳥→「Under the Moon light」
・全ベタ/MSG350:JRP550:MSG710:MSG120:MSG800:MSG320=25:10:10:15:30:10
・画用紙ベタ/調色インク
・全体アミ/PRO765:JRP350=3:1+T-910 25%
・エンジオペーク版/JRP500:710=100:2
・本、水鳥アミ/PRO765:JRP350=3:1+T-910 25%
・花アミ/PRO765:JRP350=3:1+T-910 25%
・タイトルBOXベタ/調色インク
・タイトルBOX/全ベタ用
チューリップ→「Green Tulip」
・方眼/PRO456 3%・ストローク版/JRP120:710:400:PRO850=95:1:2:85
・1ポジアミ/下G_JRP350:710:120:800=30:10:20:50/
上B_G:JRP710:800=1:1:1
・2ポジアミ/PRO710 50%
・2ポジアミ目止め版/JRP120:PRO850=1:1
・3ポジアミ/上G_G+B:G=10:20/下B_G+B:B=1:1
・4ポジ線画/MSG800/2°
・タイトルBOX/調色インク