今年もはじまった。
また勉強、工夫の日々。。

2016.4.25 mon
ミーティング。
Fragmentsで展示するアイリスの新作。
これまでの作品の再制作ではなく、新作になる。

版の構成

1.ベースストローク/2.背景アミポジ2種/3.アイリスポジ3種/4.シブキストロークが主な版になる。

同時に、年末のPeriods 4に向けて制作するChestnutのポジも預かる。
たった2枚のポジを繰り返してオールオーバーに構成するプラン。
繰り返すだけ、と簡単そうだが、そのままやると実に40~50回は刷ることになってしまうな。。。
なにかいい方法を考えなくては。

もうひとつ、タブロー用のポジも預かる。
これは、再制作用の刷版になる。
それと昔のシルク作品の染み抜きの必要もあり。


2016.5.23 mon
他が立て込んでいて、ひと月も空いてしまった。
漂白の作業と並行して、タブロー用の刷版の用意。
2016.6.3 fri
別件で木村さん打ち合わせに来るが、版画はまだ見せるものが無い。。。
タブロー用の刷版はなんとか渡す。
2016.6.14 tue
ようやく、版画の方に取り掛かる。
刷り位置の指示用の版下からポジを外す。
刷り位置が未決なものもあるので、どの辺に刷るか想像で製版位置を割り出す。
特に機械で刷りたい場合、かなり絞り込まないとセットできない。
本当はどれも機械で通したいところだが、アミのポジの角度が様々なので、モアレの無い角度を探しつつ、なるべくナチュラルな位置取りできるようにするしかない。機械はあきらめて手刷りの部分も出てくる。
2016.6.29 wed
ベースのストローク、背景のポジ2種まで。
このストロークは、うまく描けたと言っていたのでうまく製版したいところだが、難易度高し。
乳剤薄膜で短いカウントでちょっと露光させて、水洗で加減する。
こんなもんかーと言いながら、ソロソロ水洗する。
全部出すというより、階調のはっきりしているところが出るように。
後で聞いたが、この手のポジを描くのに、描画材にもひと工夫ある模様。
描いて乾かしただけでは、こうはならんよね、、と納得。
2016.7.7 thu
版画打ち合わせ。
まだ先が見通せないが、アイリスの刷り位置とシブキの刷り位置を決めてやってみようと。
以前の作品の再制作ではなく、今回用にプランされたものなので、木村さんも見てみないと分からない様子。
とにかく最後まで刷り重ねてみよう。
もう一種、年末用のプランを持参。
clouds。
これまたイカツいプラン。。

方眼のベース上に、cloudsの面が居並ぶ。
シンプルに墨の濃度だけで表現したいとのこと。
アミに強いものや弱いものがあるので、一色の中で強弱や奥行きが感じられるものになるのではないか。
cloudsの各パーツは2枚のアミ版が重なってできている。
全面1枚のポジになっていたら、2版で済んでしまうところだが、chestnutもそうだが、ポジをスキャンして統合してしまうことができない。
アミの角度や線数がそれぞれ違うし、アミが重なる部分もある。
これはいったい、どうやるのが一番いいのか。。。

しかしなんでこんなに沢山あるんですか?と聞くと、どのポジもまったく別な作品に使われていたもの。
でもひとつの画面にピシッと収まっている。
普通は作り上げるイメージに向かってポジなりフィルムを作るわけだが、順序が違う。
収集し、再構成する。ポジで絵を描く、ようなものか?
統合と拡散。よく使う人気者のポジとかあるのだろうなぁ。
2016.7.12 tue
シブキ版まで通す。
ここまでで計7版。色のバランスなどどういう意見が出るのか。。。
2016.7.14 thu
校正刷りチェック。
全体の雰囲気は思っている方向のようで、一安心。
ただ、アイリスの3版の配置を調整したいとのこと。
レイアウト変更で最後まで刷ってみて確認しようと。
と、終わると思いきや、ディレクターの意見でせっかく新しく作った作品にしては、あっさりしているのではないかと。
どんな可能性があるかスタッフ間で検討。
デジタル上で色変更のシミュレーションを行う。
(原稿がすべてポジ現物なので撮影データから色を拾って‥)
2016.7.20 wed
展覧会ミーティングをかねて打ち合わせ。
レイアウト変更の状態の校正刷りと、シミュレーションのプランの検討。
色か?インクの強さか?押さえるポイントと変わる可能性のバランスを見極めたいところ。
あえての緑色のアイリスか、と思っていたが、木村さんは紫のシブキの方が大事と見ている。
使うのが難しい色が落ち着いているという点を残しつつ、
アイリスを一気にグレーに持って行って背景と混在させるという方向へ。
グレーのアイリスに微妙に色味をもたせたいというディレクターの意見もあり、もう一回トライアルしてみることになる。
指示あるものはいいが、微妙に、、というのが難しい。。
2016.7.26 tue
前回木村さんが調色したグレーと、ディレクターの意見のすこし色味のあるグレーのパターンで校正刷り。
色のバランス、というか強さを揃えるように調色する。
いろんなバージョンのアイリスが増殖中。。
2016.7.28 thu
再トライのチェック。
一同、しばらく熟考。。。

モノクロのアイリスは色味がシブキだけで、かなりシンプル。
成り立っているように思うが、言葉を変えれば素っ気ない印象かも。
かたや色味をもたせたカラーグレーのアイリスは、違和感がある。
青っぽいグレー、緑っぽいグレー、ナチュラルなグレーを使ったが、このナチュラルなグレーがどうもおかしい。
やるならこのグレーも変えよう、とその場で色の選定を。
木村さんは次の予定があり、滞在時間あと30分。
いま決めておいた方が絶対いい、と思いスタッフの手を借りて3色のアイリスを刷る。
ちょうど30分でできた。
このあと、シブキの紫まで刷って、次回最終的に選ぼうということになった。
やっぱり、見てみないと分からない。
2016.8.2 tue
木村さん展示のため来社。最終トライの確認を。
こっちでいこう、とカラーのアイリスを選択した。
タイトルはPurple Splash、紫のシブキ。
無事校了。
ほっ。。。。
途中、ディレクターの意見もあったが木村さんの言う「自分では使わない色」でアイリスを仕上げることができた。
作品がどう見られるかは分からないが、そのプロセスに重点を置きたい。

このあとは年末に向けて、chestnutとcloudにチャレンジする。
その前にエディション分を刷らなくっちゃ。